唯美人形という名前は、19世紀の思想「唯美主義」から来ています。美を、道徳や実用性、目的よりも上に置くという哲学。いわゆる「芸術のための芸術」。アイドルユニットとしてはかなり大胆な主張だけど、彼女たちのMVを見れば納得できるはず。『花鳥風月』もその一例で、視覚的に強烈で、どこか現実離れしていて、しかも絶妙に抽象的。何を見たのか完全には掴めないまま、ただ「もっと観たい」と思わされる。
タイトル通り、この曲は自然の美をテーマにしていて、それがななちゃんとみかちゃんという二人の姿に重ねられているように感じる。MVの中での彼女たちは、とにかく圧倒的に美しい。歌詞は罪や愛、そして「蜜」をめぐって展開していて、一度その味を知ってしまえば、もう後戻りはできないと繰り返し語りかけてくる。印象的に何度も出てくるのが「モナムール(mon amour)」。フランス語で「愛しい人」という意味で、フランスにルーツを持つ唯美主義へのさりげないオマージュにも思える。ただの魔法というよりは、どこか呪いに近い響きがある。
映像の中では、仮面をつけた人々が遊んだり、飲んだり、彼女たちのパフォーマンスを眺めたりしている。けれどMVが進むにつれて、彼らは次第に二人をじっと見つめるようになり、その美に取り憑かれていく。いわば、蜜を味わってしまったかのように。
ある場面で、ななちゃんが突然銃を手に現れ、「花鳥風月が騒ぎだす」と歌う。その瞬間、自然の美がざわめき始め、あるいは制御を失っていくような気配が漂う。そこから先、仮面の人々は完全に主体性を失い、彼女たちに魅入られていく。
やがて彼らは同じダンスをなぞり始める。まるで自ら望んで閉じ込められた夢の中、終わりなき罪の迷宮をさまよっているかのように。歌詞もはっきりと言っている――「夢から醒めないで」。ここには、逃げようとする人なんていない。正直、自分だって抜け出したいとは思わない。
唯美人形らしく、この曲も歌詞と演出の両方にしっかりと層がある。二人のクリーンなボーカルは今回も抜群で、ロングトーンからあの「パパヤパ」のパートへ滑り込む感じがとても気持ちいい。一度聴いてからずっと頭に残っている。ダンスも楽しくて、彼女たち特有の人形のような雰囲気がしっかり出ているし、これが実際のライブでどう見えるのかすごく気になる(唯美人形、ぜひ現地に連れていってほしい!!)。
でも、あれこれ語るより、まずは自分の目で観てみてほしい。そして上の投稿でななちゃんが言っているように、ぜひ感想やクリップをシェアしてあげてほしい。彼女たちはそれだけの注目を受ける価値がある。